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Usnea longissima ナガサルオガセ

Usnea longissima
ナガサルオガセ

和名: ナガサルオガセ(Usnea longissima)とグスタン峰 (6046m)
撮影場所: 西ネパール ダウラギリ山群 Darshinge Khalka周辺 (標高2830m)
撮影日時: 2004年3月13日
撮影者: 志水 顕(北海道大学)
コメント: 2004年2月末から約1ヵ月間,西ネパールのダウラギリ山群を訪れた。その際,最奥の村Gurja Gaon (標高2540m)からカペ氷河周辺の山群に向かい,Budzinge Baraと呼ばれる峠 (4500m)にかけて若干の地衣類の観察を行った。当地の森林地帯はシャクナゲなどの常緑樹の他,数種の落葉樹,及び針葉樹が混交し,訪れた季節には赤やピンクのシャクナゲや林床のサクラソウが満開であった。ネパールでは6~8月がモンスーンによる雨期にあたるが,ダウラギリ周辺ではそれ以外の時期はかなり乾燥しており,当初は地衣類相は貧弱なのかもしれないと考えていたが,観察地は周囲の高峰からガス状の雲が周期的に下降してくる環境にあり,思いのほか豊かなフロラを形成していた。
最も目をひいたのは樹枝状の地衣類で,森林帯では世界的にも減少し続けていると考えられるナガサルオガセ(Usnea longissima)が随所でレースのカーテンを形成していた(写真)。また,場所は異なるものの,小潅木に地衣の花?が咲く様子は,科学博物館の柏谷先生が報告されたソノラ砂漠の地衣類 (柏谷 1993)を想起させるものがあった。樹林帯で観察された主な属は,Everniastrum,Heterodermia,Ramalina,Sticta,Usneaなどである。さらに,標高約3500mの森林限界より上部では,岩上を鮮やかな黄色のAcarosporaやオレンジ色のXanthoriaの一種などが彩っていた。また,Budzinge Baraの峠周辺では,Thamnoliaを含む高山植物がパッチ状の群落を形成していた。
引用文献
柏谷博之. 1993. ソノラ砂漠の地衣類調査 (1), (2). 植物研究雑誌: 68 (4): 241-251, (5): 306-312.

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